起動不能Windowsからのデータの救出

Date : 2006-10-19
Author : Defolos

CONTENTS

(1.) Windowsのトラブル
- WindowsUpdate
- 予防策
(2.) Knoppixによるデータの救出
- Knoppixとは
- Knoppixの入手
- 救出の手順

Windowsのトラブル

 Windowsは非常に不安定なOSです。特別なことをしていなくてもエラーが発生し、OSの再インストールを余儀なくされることは珍しいことではありません。ウィルスの標的となりやすいのに対して感染への免疫もなく、これも再インストールを要求される原因となります。しかし、ウィルスやワーム、不正侵入などは外部的な要因によるものです。これとは異なり、特に注意が必要となる内部的要因によるエラーが存在します。

● WindowsUpdate

 WindowsUpdateは、Windowsのセキュリティホールや新機能追加などのパッチ(※1)をダウンロードし適用するソフトウェアです。このWindowsUpdateで行われる更新の中にはセキュリティ上必要不可欠なパッチを適用するものも含まれます。しかし、中には適用するとインターネットに繋がらなくなったり、Windows自体が起動不可能になる更新も含まれています。特にバージョンが上のServicePackの適用を行うと何らかのエラーが発生するようです。今回私はServicePack1からServicePack2へのバージョンアップが自動更新により行われてしまい、Windowsが起動不可能になりました。

● 予防策

 WindowsUpdateの自動更新機能を切りましょう。これによって自動でOSに欠陥を埋めるパッチが適用されないので手動で必要なパッチを適用する必要があります。これを怠りますとウィルスや不正侵入の窓口を空けておくことになってしまいますので、ある程度の頻度で行ったほうがいいでしょう。
 「スタート」→「コントロールパネル」→「自動更新」で自動更新の設定画面を表示しましょう。ここで「自動(推奨)」にチェックが入ってる場合は「更新を通知するので、自動的なダウンロードまたはインストールを実行しない」か「自動更新を無効にする」にチェックを入れてOKを押します。

(※1)パッチ

 パッチとはプログラム上に残されたセキュリティホールなどをふさぐための小さなプログラムです。バグを修理してくれるソフトだと考えてもらえれば良いでしょう。服に空いた穴をふさぐための継ぎはぎのようなものだというところからこの名前が来ています。


Knoppixによるデータの救出

 すでにWindowsが起動しなくなっている場合でも、Knoppixからブートしてデータを救出できる可能性があります。すべてをやりつくしてフォーマットを考える前に一度Knoppixを試してみてください。

● Knoppixとは

 KnoppixはドイツのKlaus Knopperという人物がDebianパッケージを元に開発したLinuxです。CDやDVDから起動できるという特徴を持ち、インストールは不要でLinux環境を使うことができます。電源を切るとすべて元に戻っているため、簡単にLinuxに触れるといった用途や障害が発生したPCからデータを取り出すのに役立ちます。ハードウェア認識力に優れ、ほとんどのハードウェアは自動で認識できます。日本語版は独立行政法人産業技術総合研究所がおこなっています。

● Knoppixの入手

 Knoppixの日本語版は産業技術総合研究所からダウンロードできます。isoイメージを書き込めるCD書き込みツール(DeepBurnerなど)を用いてダウンロードしたイメージを書き込みます。これでKnoppixCDの出来上がりです。ダウンロードに時間がかかる、isoを書き込める環境がないという方は書店で販売している雑誌などに付録としてついていますので、そちらを購入してください。

● 救出の手順

 ここではLANを通してほかのWindowsPCと接続されていることを前提とします。もしLANを構築していないという場合は、PCをもう一台用意し、起動不能なPCと用意したPCをクロスケーブルでつなぎあうことでLANを構築できます。ここで注意する点は接続するLANケーブルは通常使われるストレートケーブルではなく、クロスケーブルを使うことです。
 KnoppixのCDをドライブに入れ、PCを起動します。後はしばらく待つとKnoppixが起動します。起動後はsamba(※2)サーバを立ち上げます。これで、ネットワーク上の他のWindowsからデータにアクセスすることができます。sambaサーバはKnoppixのデスクトップ下部にあるタスクバーのペンギンマークや、タスクバー左端のメニューから起動します。ペンギンマークをクリックし「Services」→「Start Samba Server」と選択するとパスワード入力ウインドウが出ますので、好きなパスワードを入力し「OK」を押します(確認のため2回出ます)。すると、英文のウインドウが出るので「Yes」を押します。これでsambaサーバが動作します。
 次にLAN上の他のWindowsからKnoppixを起動しているPCへアクセスし、データを取り出します。「スタート」→「検索」→「プリンタ、コンピュータまたは人」→「ネットワーク上のコンピュータ」と進み、コンピュータ名に「knoppix」と入力して検索します。sambaサーバが正常に起動していればknoppixという名前のコンピュータが検索されますので、それをダブルクリックします。ユーザ名とパスワードを入力するダイアログが開きますので、ユーザ名はknoppixに、パスワードは先ほどsambaサーバを動かすときに入力したパスワードを入れます。これで起動できなかったPCのHDDにアクセスできますので、必要なデータをすべてコピーします。これで救出完了です。

 これでWindowsが起動しないという障害からデータを救出することができます。ただし、これは起動プロセスにのみ障害がある場合にのみ有効で、データそのものが壊れてしまったりHDDがハードウェア的に壊れてしまった場合にはこの方法では救出できません。

(※2)samba

 UNIXでSMBを使ったサービスを提供するためのソフトウェア。ネットワークを通じてWindowsマシンにファイル共有やプリンタ共有などのサービスを提供することを可能にする。GPLというライセンス体系に基づいてフリーソフトウェアとして公開されている。

IT用語辞典 e-Words:samba(http://e-words.jp/w/Samba.html)より引用


■参考文献


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