動詞も名詞や形容詞のように変化します。動詞は人称、数、法、相、時称に応じて変化します。人称には一人称、二人称、三人称があり、数には単数と複数があります。これは英語などでもおなじみです。法には直接法、接続法、命令法、不定法があります。直接法は出来事を客観的に述べるときに用い、「する」と言い切るときに使います。
一方接続法は話し手の主観的考えや意思、可能性などを込めて「すべし」や「してほしい」、「するかもしれない」などを表現します。接続法は主に接続詞に導かれる従属文で用いられます。相には能動相と受動相があり、英語の能動態と受動態にあたります。時称には現在、未完了過去、未来、現在完了、過去完了、未来完了の6時称があります。
ラテン語の単語の基本構造は語幹(語根+接辞)+語尾であり、これは動詞にもあてはまります。動詞の語尾は上記の5つの文法的意味のうち人称、数、相を表し、接辞は様々な幹を作って時称と法を表します。動詞には能動相と受動相がありますが、まずは基本となる能動相の語尾を見ていきましょう。
+--------+------------------+---------------------+ | | 単数 | 複数 | +--------+------------------+---------------------+ | 一人称 | 私は -o,-m | 我々は -mus | +--------+------------------+---------------------+ | 二人称 | あなたは -s | あなた達は -tis | +--------+------------------+---------------------+ | 三人称 | 彼・それは -t | 彼ら・それらは -nt | +--------+------------------+---------------------+
am-(愛)という語幹に-aという接辞がつくことで現在幹が作られる動詞、amoの現在・能動の変化を見てみましょう。ここで注意すべき点は、amoはamaoが縮まった形だと言う点です。また、現在・能動は「〜する」以外にも「〜している」、「〜しようとしている」といった意味も持っています。