Outline of the Picking

Date : 2005-03-26
Author : Defolos

CONTENTS

(1.) ピッキングとは
(2.) 錠の種類
- シリンダー錠
- 特殊錠
(3.) ピックツール
- ピック
- テンション
(4.) ピックツールの自作
- ヘアピン
- バーベキューの串
- 電動工具のジグソーなど
- ステンレス板

ピッキングとは

 ピッキング(Picking)とは、鍵を使わずに特殊な道具を用いて錠を開けてしまう開錠技術です。映画やドラマなどで空き巣役の役者が演技しているのを見たことがある人は多いのではないでしょうか。このテキストではそのピッキングの方法、原理などを解説していきます。


錠の種類

 ピッキングをするには、まず対象となる錠の種類を見分ける必要があります。次に代表的な錠の種類とその大まかな見分け方を記述しておきます。

● シリンダー錠:鍵を刺して回すタイプの錠

 シリンダータイプの錠は最も一般的なタイプの錠です。刺して回す錠はまずこのタイプです。見つけるのは簡単ですので実際に見てもらった方が早いです。

1.) ピンタンブラー
鍵穴から円柱状の突起(ピン)がみえるものです。存在している錠の半分はこのタイプだと思ってください。シリンダー錠の中でも最も一般的で、正しくピッキングの王道。南京錠や玄関の鍵などに使われています。
参照:figure1 → http://akademeia.info/wizardbible/7/image/picture_1.GIF
2.) ダブル・ピンタンブラー
単純にピンを上下に配置しただけですが、かなりの難易度を誇ります。車の鍵などのセキュリティーを重視する場合に多く使われます。
3.) ディスクタンブラー
鍵穴から板状の部品がみえるものです。ピンタンブラーに次いで一般的な錠です。自転車のチェーンやロッカーの錠などのセキュリティーを重視しない場所に使われます。
参照:figure2 → http://akademeia.info/wizardbible/7/image/picture_2.GIF
4.) ダブル・ディスクタンブラー
鍵穴から上下互い違いに板状の部品がみえるものです。安価なわりにはセキュリティーが確保できたために日本中に普及しました。難易度は高いですが練習次第では簡単に開けれます。
5.) チューブラー
円形の鍵穴に放射状にタンブラーが並んでいるものです。平均的に難易度が高く、自動販売機などの最もセキュリティーを重視する場所に使われます。見慣れない感じがしますが、構造自体はピンタンブラーと変りありません。
参照:figure3 → http://akademeia.info/wizardbible/7/image/picture_3.GIF

● 特殊錠:シリンダータイプ以外

 特殊な用途のための錠です。特別強固なセキュリティーを要求される場所のための専用錠や手錠のような簡易な錠などに使われます。あまりに数が多いので一部だけ紹介します。

1.) パズルキー
自転車のチェーンなどに利用されている数字を合わせることで開錠するタイプの錠(セサミロック)です。あるいは、押しボタン式の錠(押しボタン錠)です。
2.) 自転車の前輪の錠
そのままです。自転車の前輪のアレです。明らかにセキュリティーに問題があるため今ではほとんど使われていないと思います。
3.) バイオメトリックス
指紋感知式の錠や網膜での認証システムなどの身体のユニークな部分を使っての認証方式です。他の錠などと組み合わせて使うことが多いようです。

ピックツール

 ピッキングにはピック(Pick)とテンション(Tension)と言う2つのツールを使います。ピックとテンションにもいくつか種類があります。次にそれぞれの特徴を説明します。

● ピック(Pick)

 ピッキング(Picking)の基本ツールです。ピッキングの名の由来でもあります。ピンを押し上げるための細い棒状のものです。

1.) フックピック
主にピンタンブラーに使用するピックで、凡用性があります。
参照:figure4 → http://akademeia.info/wizardbible/7/image/picture_4.GIF
2.) ダイヤモンドピック
ピンタンブラーやディスクタンブラーに使用します。フックピックと同じく最も凡用性があるピックの一つです。
参照:figure4 → http://akademeia.info/wizardbible/7/image/picture_4.GIF
3.) レークピック
ディスクタンブラー専用のピックです。鍵穴内部をひっかくような動作で開錠するレーキング(Raking)のためのピックです。非常に短時間で開けることができますが、他の錠には効果が薄いです。
参照:figure4 → http://akademeia.info/wizardbible/7/image/picture_4.GIF

● テンション(Tension)

 シリンダーに回転を加えるのに使います。一般的にL字型をしています。「テンション7割」といわれるほど重要なツールです。詳しい使い方は次のチャプターで説明します。

1.) ピンテンション
L字型の最も一般的なテンションです。
参照:figure5 → http://akademeia.info/wizardbible/7/image/picture_5.GIF
2.) フェザー・タッチ・テンション
微妙な力加減が要求されるときに使います。マッシュルームピンなどのピッキング対策された錠を開けるにはこのテンションを使います。
3.) 円形テンション
テンションの中でも最も操作性のいいテンション。名の通り丸い形をしています。

 以上で基本的なツールの説明を終ります。ツールを買う場合、テンションの多い物を選びましょう。というのはテンションはピック以上に重要ですので、テンションの多いセットを売り出す会社はその重要性を理解していると思ってよいからです。


ピックツールの自作

 ツールを自作する場合の大まかな設計図はfigure6を参照してください。次に使いそうな材料と加工方法を記載しておきます。

参照:figure6 → http://akademeia.info/wizardbible/7/image/picture_6.GIF

● ヘアピン

 ヘアピンはピックツールを作るのにとても有効な材料です。強度には少し問題がありますが、十分使用に耐えられるレベルです。もともと形ができてますので、後は少し曲げるだけです。ただし、フックピックしか作れません。
 できるだけ薄っぺらいヘアピンを用意し、ゆっくりと真っ直ぐにします。先端を少し曲げて完成です。ゆっくり曲げないとすぐに折れてしまいますから注意してください。同じようにしてテンションも製作します。

● バーベキューの串

 適度なやわらかさがあり、加工はしやすい材料です。ステンレス用のヤスリをホームセンターで購入してください。できれば万力も購入してください。
 次に、100円ショップで一番小さいバーべキュー用の串を買ってください。後は作りたいピックの形に加工してください。テンションを作るとき、先端を曲げなければなりません。その際はゆっくりと慎重に作業を行ってください。

● 電動工具のジグソー、のこぎりの刃、焼入れ済み鉄板

 これらは焼きが入っているため硬く、加工には難航しますが出来上がったピックの使いやすさは及第点です。ただし、テンションの製作はできません。
 これらの加工にはダイヤモンドヤスリが必需です。また万力も必要ですのであわせてホームセンターで購入するのが望ましいです。焼入れ済み鉄板は東急ハンズに売ってます。削るときはゆっくりと削るようにしてください。焼きが入っているため乱暴に削るとすぐに欠けてしまいます。

● ステンレス板

 ホームセンターで0.5〜1mm程度のものを購入してください。ステンレス用ヤスリ、万力、金ノコもあわせて購入してください。テンションを作るとき、先端を曲げなければなりませんがゆっくり行ってください。
 できれば刃物用の鋼材を利用するのがよいです。私は金属加工は得意な方なのでCRMO-7と言う刃物用の鋼材を削ったピックを使ってます。


■参考文献


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