ピンタンブラー錠のピッキングをするのにあたって、内部構造を知る必要があります。簡単ながら内部図を載せておきましたので参照しながら読んでください。
参照:figure7 → http://akademeia.info/wizardbible/7/image/picture_7.GIF
ピンタンブラー錠の特徴としてピンがあることは以前に説明しましたが、このピンには鍵穴から見えるボトムピンと、シリンダーと外殻にまたがって存在するトップピンとがあります。
図を見てもらえばわかると思いますが、このトップピンがシリンダーの回転を邪魔しているために勝手にシリンダーが回転するのを防いでいます。ピッキングはこのトップピンを全てシリンダーの上に押し上げてシリンダーを回転させることを目的としています。
しかし、通常トップピンの上にはスプリングがあり、ただ上に押し上げただけではピンが落ちてきて全てのピンを押し上げることはできません。そこで次のような特殊な方法を使い、ピンを落ちてこないようにします。
シリンダーと外殻の間にズレをつくり、そのズレにトップピンを引っかけることでピンを押し上げたままにします。
まず鍵穴にテンションを差し込んで右回りに力をかけてみてください。このままではシリンダーは回転しませんが微妙なズレができたと思います。このズレが大切です。
参照:figure8 → http://akademeia.info/wizardbible/7/image/picture_8.GIF
あまり大きな力は必要ありません、むしろ強すぎる力は失敗の元です。この力量を保持したままピッキングを行ないます。途中で力を抜いたりしないでください。
次にピックを鍵穴の奥に差し込んでください。一番奥のピンを押し上げてみましょう。押し上げていくと"カチッ"っといった感覚があると思います。これはトップピンがシリンダーと外殻の間のズレに引っ掛かったからです。後は同じように奥のピンから順に押し上げていきます。
参照:figure9 → http://akademeia.info/wizardbible/7/image/picture_9.GIF
もしピンが全く動かない場合は、テンションのかけすぎです。もう少し力を緩めてください。ピンを押し上げても"カチッ"という感覚がなく、ピンが落ちてきてしまう場合はテンションが弱すぎますので、もう少し力をかけてください。ピッキングはこのテンションのかけぐあいが重要です。テンションが大事だという理由はここにあります。
ピンの押し上げすぎにも注意してください。押し上げすぎてボトムピンまでもが外殻に挟まってしまった場合このボトムピンがシリンダーの回転を邪魔するので鍵を開けることはできません。figure10では奥から2番目のピンが押し上げすぎた状態です。
参照:figure10 → http://akademeia.info/wizardbible/7/image/picture_10.GIF
このような状況に陥った場合、テンションをゆるめて一度ピン全部を落として初めからやり直すしかありません。この症状の原因として挙げられるものはテンションのかけすぎとピンの押し上げすぎです。特にテンションのかけすぎは影響が大きいようです。
私の経験上の感覚なので科学的な根拠はありませんし、正確さも保証できませんが新しい鍵はピッキングしやすいように思います。レーキング("ディスクタンブラー錠"参照)でもかなり簡単に開けることができます。
私の素人の考えでは、使われていくうちに数ミクロン程の微妙な隙間ができたためにピンが引っ掛かりにくくなったと思っているのですが、詳しい方は情報お願いします。m(_ _)m
南京錠はメーカーや種類によってピッキングのしやすさに大きな差があります。これを見極めることが大切です。有名な一部のメーカーの開け易さを次に記載します。
そんなに難しい錠ではありません。特に新しいものはレーキングでも簡単に開けることができます。鍵穴の鍵に収まる突起が左に付いていてテンションをかけやすいです。
2つ入りでとても安価です。ピンは2つしかなく、とんでもなく簡単に開錠できます。
とても難しい錠です。突起は左ですが、私はいまだに開けたことがありません。
簡単に開きます。
簡単です。突起は左についており、錠のサイズのわりに鍵穴が大きいです。
これもそう難しくはありません。突起は左についています。鍵穴が小さいので薄いピックを使いましょう。
以上でピンタンブラー錠のピッキング説明は終わりです。最後にピンタンブラーでもレーキング("ディスクタンブラー錠"参照)のテクニックを応用できることを書いておきます。一種の荒技として憶えておいて損はありません。