How To Pick a DiskTumbler Lock

Date : 2005-08-30
Author : Defolos

CONTENTS

(1.) ディスク・タンブラーとは
(2.) ディスク・タンブラー錠の開錠
(3.) ダブル・ディスク・タンブラー錠
- ダブル・ディスク・タンブラーとは
- 開錠方法
- ダブルサイド・ピック
(4.) サイドバー・ディスク・タンブラー錠
- サイドバー・ディスク・タンブラーとは
- 内部構造
- ピッキングが不可能な理由
(5.) 最後に

ディスク・タンブラーとは

 ディスクタンブラー錠はピンタンブラー錠と人気を二分する錠です。ディスク状のタンブラーを使っており、そのシンプルさ故に鍵穴に埃や砂などが入り込んでも比較的壊れにくく、破綻にも強いという特徴があります。ここでは"ウェハー・タンブラー錠"を例にとって解説していきましょう。

参照:figure11 → http://akademeia.info/wizardbible/8/image/picture_11.GIF

 ディスクタンブラーのロックシステムはとても単純です。ロック時はディスクの一部がスプリングに押されて外殻にはみ出ていてるためシリンダーを回すことができないようになっています。

参照:figure12 → http://akademeia.info/wizardbible/8/image/picture_12.GIF

 この外殻にはみ出した部分をシリンダーの中に収めることができれば開錠となります。

参照:figure13 → http://akademeia.info/wizardbible/8/image/picture_13.GIF


ディスク・タンブラー錠の開錠

 基本的にはピン・タンブラー錠と変わりはありませんが、ディスク・タンブラー錠の開錠ではレーキング(Raking)という技術を使います。レーキングというのは、引っ掻くような動作でピックを前後に動かし開錠する技術です。では、実際にやってみましょう。

1.) 錠を用意する

 まずは錠を用意しましょう。いきなり難しい錠を買っても無駄になる可能性もありますので最初は簡単なものを購入しましょう。初めてであれば自転車用のチェーン錠がおすすめです。技術が上がってきたら補助鍵、ドアノブの鍵とレベルを上げていくのが良いでしょう。
 なお、自転車用のチェーン錠は100円ショップやホームセンターの自転車用品コーナーで、補助鍵とドアノブもホームセンターで購入できます。

2.) ズレをつくる

 ピン・タンブラー錠と同じようにズレをつくり、そのズレにタンブラーを引っかけることで開錠します。ピン・タンブラー錠との違いは、ズレはタンブラーの上下に発生するということです。
 2ヶ所にズレが発生することでタンブラーの押し上げすぎがなくなり、その特徴のおかげでレーキングという技術が使えるのです。

3.) レーキング

 レーク・ピック(figure4を参照)を手にし、鍵穴にピックを差し込みます。後はピックをやさしく前後に動かします。前後に動かしていれば自然とタンブラーは適切な高さになり、開錠できます。
 注意することは、「引っ掻くような動作」と言っても力任せに引っ掻いてはいけません。ピックを折ったり、最悪の場合、錠のタンブラーを壊しかねません。やさしく、ゆっくり動かしてください。
参照:figure4 → http://akademeia.info/wizardbible/7/image/picture_4.GIF


ダブル・ディスク・タンブラー錠

● ダブル・ディスク・タンブラーとは

 ダブル・ディスク・タンブラーとはピッキング対策のひとつで、鍵穴の上部と下部の両側にタンブラーを配置したものです。通常の片側タンブラー(シングル・ディスク・タンブラー)よりも難易度が大幅に上がっています。

参照:figure14 → http://akademeia.info/wizardbible/8/image/picture_14.GIF

● 開錠方法

 このタイプの錠の開け方も基本的にはシングル・ディスク・タンブラーと変わりありません。テンションを掛け、上下どちらか一方のタンブラーを解除してから、もう片方のタンブラーを解除すれば開錠できます。この時テンションをあまり奥まで差し込まず、できるだけ浅い位置でテンションを掛けてください。でないとテンションが邪魔になってうまくレーキングできないと思います。どうしてもテンションが邪魔になる場合は、ダブルディスク用のテンションを使ってください。

参照:figure15 → http://akademeia.info/wizardbible/8/image/picture_15.GIF

● ダブルサイド・ピック

 ダブル・ディスク・タンブラー錠専用のピックツール(レークツール)にダブルサイド・ピックというものがあります。テンションとピックが一体になっており、先端は二股に分かれています。この二股は通常のテンションと兼用したり、鍵穴の出っ張りを回避するためのものです。

参照:figure16 → http://akademeia.info/wizardbible/8/image/picture_16.GIF

 使い方は、鍵穴に差込み右方向にテンションを掛けつつピックを前後に動かします。テンションを掛けにくいと感じたら二股の間にテンションを差し込んでください。サイズやギザギザの間隔などを変えたものを数本用意しておき、うまくいかなかったら次のピックへと交換していくのが良いでしょう。


サイドバー・ディスク・タンブラー錠

● サイドバー・ディスク・タンブラーとは

 サイドバー・ディスク・タンブラーとはピッキング対策のひとつで、最も優れたピッキング対策と言っていいと思います。タンブラーにサイドバーを配置し、不正開錠は運に頼る以外はほとんどできません。
 このタイプの錠についてのピッキング方法は今のところありませんので内部構造と、どうしてピッキングが不可能なのかを説明していきたいと思います。

● 内部構造

 サイドバー・ディスク・タンブラーの内部構造は、通常のディスク・タンブラーとそれほどの違いはありません。普通と違う点は、錠の上部にサイドバーという棒状の物が配置されており、タンブラーにそのサイドバーが収まるように切り込み(スロット)を施してある点です。
 鍵がかかっているいる状態ではサイドバーがシリンダーと外殻の間に位置しており、このサイドバーが回転を邪魔するために開けることはできません。鍵が刺さっていている状態では、タンブラーが所定の位置に揃い(ここは普通のディスク・タンブラー錠と同じ)、それに合わせて作られた切込みが一直線に揃います。するとサイドバーは重力で下に落ち、シリンダー内へ移動します。この状態で初めてシリンダーを回すことができます。

参照:figure17 → http://akademeia.info/wizardbible/8/image/picture_17.GIF

 これは錠を正面から見た図で、この図で言いますと上部の白い部分がサイドバーで薄い灰色の部分がタンブラーになります。

● ピッキングが不可能な理由

 サイドバー・ディスク・タンブラー錠がピッキング不可能な理由は、ピッキングの基本である「ズレをつくり、そのズレにタンブラーを引っかける」という動作ができないからです。また、これまでの錠ではタンブラーを押し上げると「カチッ」といった感覚が得られましたが、サイドバー・ディスク・タンブラー錠ではそのような感覚は全くなく、ピッキングを不可能にする要因のひとつとなっています。何も感覚が得られないのはシリンダーを固定しているのはタンブラーではなくサイドバーであることに起因します。サイドバーが落ちた時にしか感覚は感じ取れませんが、サイドバーが落ちた時はスロットが一直線に揃ったときであり開錠できた時です。

 以上の理由からサイドバー・ディスク・タンブラー錠のピッキングはほとんど不可能です。できるだけ早くこのタイプかどうかを見極めてください。


最後に

 ディスク・タンブラー錠のピッキングはどうだったでしょうか。ディスク・タンブラー錠はこれから減少していく、あるいはサイドバー・ディスク・タンブラー錠へ交換していく傾向にあると思います。今のうちに気が済むまで練習しておくのもいいと思います。
 家の玄関の錠などはあまり頻繁に交換しないと思いますが、それが原因でピッキング被害に逢うというのは十分に考えられます。もしサイドバー・ディスク・タンブラー錠かそれ以上に高度な対策済みの錠への交換がまだでしたら、できるだけ早めに交換することをおすすめします。


■参考文献


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